放射線科 医師インタビュー

頼れる放射線科医を目指して

放射線科を専攻したきっかけは、研修医時代にあります。自分では診断に悩むことがあっても、放射線科の先生にCTを見せに行くと、画像を見た瞬間に的確に診断していただくことが多くありました。頼れる存在として放射線科の先生を尊敬するようになり、専攻を決めました。

当院の放射線科は?

当院の放射線科は、担当医の診断だけでなく、データに基づく二重チェック体制で的確な診断・診療をするために、2019年7月から新設されました。放射線科の仕事内容は大きく「画像診断」と「治療診断」に分かれていて、私の専門は「画像診断」です。当院の内科や外科やその他すべての科で施行されたCTやMRIの画像をチェックし、病気の診断や経過を見ていく役割を担っています。

私自身が直接患者さんと向き合い、コミュニケーションをとる機会は他の科の先生に比べるとかなり少ないですが、的確な診断とその後のスムーズな治療のためには、担当医との連携や信頼関係が非常に重要です。時間の限られた救急外来などでは診断が難しい、“主治医の予期せぬ所見”などがないかをあらためて放射線科医が探し出すことで、的確な診断や治療につなげることを目指しています。

最先端の医療機器で的確な診断を

放射線科とは切っても切れないのが、医療機器の存在です。テクノロジーの進化は日進月歩なので、10年前とは診断できる領域も画像のディテールも大きく異なります。患者さんの異常をより誤差なくクリアに診断するためにも、日々の医療機器の最新情報のアップデートは欠かせません。カルテはもちろん、担当医とのコミュニケーションの中で、実際の患者さんの容態をヒアリングしながら、データに基づいた的確な診断を心がけています。
その点、当院では、最先端のCanon320列CTやシーメンス1.5テスラMRIシステムをはじめ、マンモグラフィには短時間のスキャンで複数の角度から乳房の断層像を作成・収集できる最先端の「乳腺トモシセンス」を揃え、より正確な診断が可能となっています。

人生100年時代に重要な「予防治療」を支える

当院では、人生100年時代を見据えて「予防治療」に力を入れていることから、検診の診断も私の重要な役割です。外来の患者さんに比べると、検診でなにか問題が見つかる確率はとても低いですが、中には1000人に1例でも重大な病気が隠れていることもあるので、気は抜けません。

検診を含め、将来的にはAI(人工知能)が体の異常を診断する時代が来るかもしれません。また、今後AIが発展していくにつれて、単純作業に関しては、今よりAIを活用する時代になるでしょう。

ただし、AIに診療の判断のすべてを任すことは難しいと思います。 AIが進化した世の中になっても程度問題ではありますが、患者さん の利益を守るためには医師による最終チェックは外せないだろうと考えています。

診断するにあたって心がけていること

放射線科医として自分の診断があたった瞬間は正直嬉しいし、気持ちも上がりますが、そうした慢心が見逃しにつながることもあるので、いつも身を引き締めながら診断にあたるように心がけています。放射線科医として、冷静さを保つことはとても重要だと考えています。

バランス感覚と謙虚なスタンスを大切にしたい

優れた放射線科医ほど、あらゆるバランス感覚に優れ、飛び抜けて優秀なのにもかかわらず、謙虚なものです。私が尊敬する放射線科の先生は、まさにそんな方です。診断時の要所をしっかり押さえていて、臨床の先生方からとても頼りにされています。そんな姿を見て、私も大きな刺激を受けています。

ときには、放射線科医同士のネットワークを駆使して所見を伺ったり、情報交換したりすることもあります。そうした情報ネットワークはもちろん、業界誌や学会などで最新機器や症例の動向を常にアップデートしていくことは、放射線科医のライフワークとしてとても大切です。

医療の進歩は日進月歩です。一見、複雑化するようでいて、実はこれまでは達人の先生でなければわかりにくかった画像が一般的な医師にもクリアにわかりやすくなっていることもあります。今後も幅広い医療や技術の知識を蓄えながら、医療機器の進歩とともに歩み、担当医としっかり連携しながら、万全な体制で患者さんや地域社会のために貢献できればと考えています。

Profile
藤井 隼彦(ふじい はやひこ)

専門分野

  • 放射線科

経歴

  • 東京医科歯科大学卒