皮膚にともなうさまざまな症状の診察を対象としています。一般的には、かゆみや赤みをともなう湿疹の患者さんが多くいらっしゃいます。
症状がひどくなったときほど、どのくらいの経過で改善していくかが想定できないと、患者さんは不安になるのではないかと私は思っており、前もって患者さんにお伝えするようにしています。
こちらの病院には2019年の4月に赴任しましたが、比較的多いと感じた症例は粉瘤です。
粉瘤は、皮膚表面が入り組んで袋をつくり、その中に角質や皮脂がたまり、時に化膿をともなう皮下腫瘍の一種です。化膿が軽度であれば化膿止めの処方で済むかもしれませんが、非常に腫れて、膿みの貯留が多い場合は、麻酔して切開が必要になります。その際は外科や形成外科と連携の上、治療にあたっています。
また、当院で4〜6月に症状が多かったのは、帯状疱疹です。帯状疱疹はウイルスの感染症で、足から顔まで体のいたるところの片側に水ぶくれが生じ、痛みなどをともないます。一旦水疱瘡になったウイルスが神経に潜んでいて、体の抵抗力が落ちたときに皮膚症状を起こします。
近年、水疱瘡のワクチンを接種する子どもが増えたため、身近に水疱瘡にかかる子どもが減少傾向にあります。ブースター効果といって、体内で1度作られた免疫機能が、再度抗原に接触することによって、さらに免疫機能が高まる作用があるのですが、その機会が少なくなり、大人が帯状疱疹にかかりやすい状態になっているとも言われています。
治療としてはウイルスが増えないようにする薬(抗ウイルス薬)の処方が中心ですが、顔に皮膚症状が出た場合は神経にも影響し、合併症として顔面神経麻痺などを来たす可能性があるため、入院の上、抗ウイルス薬を点滴する方が望ましいと思われます。
帯状疱疹で入院される患者さんは、なんらかの基礎疾患を持っていることがあり、その場合、内科など他科と連携して治療にあたっています。
インタビュアー:椛沢 信之
専門医・認定医等
- 日本皮膚科学会専門医