総合内科 医師インタビュー

理想の医師を目指して

そもそも私が医師を志したのは、身内に医療従事者がいたことが大きく影響しています。当院には2019年6月に赴任してきました。徳洲会で医療に携わるようになったきっかけは、約40年前にさかのぼります。千葉大学の基礎の研究室で学んだ後、高知医科大学に勤めていた頃、徳洲会を率いる徳田虎雄前理事長の著書『ゼロからの出発−実現できない夢はない』(講談社)を読んで強く感銘を受けたことにあります。

徳田前理事長の優しい人柄や器の広さに惹かれ、また、理想の医療を目指す高い志や夢を語るエネルギッシュな姿を見て、この人に賭けてみようと思いました。後年、中国などを始めとする途上国への医療支援活動を精力的に手がける姿を目の当たりにし、今も私の理想の医師像となっています。

“人を治す”医師でありたい

日々、あらゆる患者さんを診ていますが、社会構造的にも、病院にいらっしゃる患者さんがどんどん高齢化しています。そうした中、ひとつの疾患だけでは終わらず、複数の病気を併発するケースも多くあり、トータル的なケアが必要な時代になっていますし、そもそも医師という仕事はそうした柔軟性を要する仕事だと考えています。

徳田前理事長は「小医は病を癒し、中医は病人を癒し、大医は国を癒す」とよくいっていました。今でも私はその言葉を念頭に置き、常に“人を治す”医師にならなければと思ってやってきました。

患者さんの背景と環境、
これからを考慮した治療がモットー

医師になって早くも約半世紀が経とうとしていますが、まだまだ私は“新米医師”という意識でいます。と言いますのも、毎日が新たな出会いと発見で満たされているからです。同じ病気だとしても、患者さん1人1人変わった様相を呈し、症状は千差万別です。それぞれの遺伝的要素、生活歴、環境、気性など、さまざまな要因によって影響されるからです。

患者さんそれぞれの背景として、どんな経過を経て病気になったのかということも含めて、治療にあたることを心がけています。医師をしていて嬉しいと思う瞬間は、やはり、自分の診た患者さんが元気になって帰っていくときです。でも、病気が治って患者さんが退院した後、どんな環境に戻っていくのかということも含めて考えないと、本当の意味で患者さんを治療したことにはなりません。そうした意味でも、1人1人の患者さんに寄り添っていけるような医師を目指して、今も精進を続けています。

当院のスタンスと治療を受けるメリット

2019年4月にリニューアルしたばかりの当院は、あらゆる診療科を揃え、医療機器が充実し、患者さんにとっていつでも快適な治療が受けられる環境が整った総合病院です。

以前勤務していた大和青州会病院では、神経の難病や重度の障害者、終末期の患者さんが中心でしたので、助けてあげられないもどかしさを感じながらも、私たち医師にできることは極めてかぎられていました。できることといえば、患者さんにいかに寄り添ってお世話をしていくかということですが、ここで学んだ患者さんの声なき声を拝聴するスタンスは、今もこれからも変わりません。

誰でも気軽に相談できるオープンな病院へ

現在、我が国では未曾有の少子高齢化社会へ突き進み、人生100年時代を迎えています。団塊世代が後期高齢者となる2025年も目前に迫り、以降は4人に1人が高齢者という超高齢化社会も迫っています。当然、年をとれば体力がおとろえ、病気がちになり、生活に他人の助けが必要になることは自然の道理です。

それにともない国の医療費や介護費も増大し、厚生労働省によれば、2017年度で国民医療費は約42兆円、介護費用は約10兆円になると推計されています。年齢を重ねても健康でありたいということは、誰しも願うことであり、国家にとっても重要な課題です。さらに医師も不足する中で、これまでの医療スタイルでは立ち行かなくなります。当院では、そうした観点から、これからの医療の方向として重要なのは、40〜50代の若年層から始める「予防医療」に注力していくことだと考えています。

また、当院では、地域のみなさまの健康増進に貢献できるよう尽力していきたい考えです。その一環として、現在、健康や病気に関する正しい知識と理解を深めるための啓蒙活動や無料講座などを実施しています。それだけでなく、将来的には、積極的に地域に医師や看護師が出かけて行き、関係各団体、行政とも連携をとりながら、検診や健康管理のための活動ができればと考えています。

当院には医師や看護師だけでなく、救急救命士、栄養士、薬剤師、作業療法士や社会福祉士、ケースワーカー、診療支援の担当者など、さまざまな専門スタッフが揃っています。病気はもちろん、これからの時代に必要となるご家族の介護の相談なども含め、よろず相談のような気軽さで当院に相談に来ていただければ幸いです。

Profile
清水 正法(しみず まさのり)名誉院長

専門分野

  • 総合内科

経歴

  • 九州大学卒